1話 かごめ

童謡オニシリーズ

鬼食い姫:♀・・・少女の姿だが、長年生きているためしゃべり方は大人っぽい。途中の唄

男:♂・・・姫に付き添う男。元人間の半分鬼。

      ビビリだが、姫の保護者的にふるまう。

鬼:♂・・・古の言霊で呼び出される古き鬼。

村人(大人)(子供):♂♀・・・姫らが立ち寄った村の人。と子供。      始めの唄

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  1. 〔歌〕かごめ かごめ かごの中の鳥は
  2.     いついつ 出やる 夜明けの晩に
  3.      ツルとカメが滑った 後ろの正面だあれ

  4. ぐぅきゅるるる...

  5. 姫 「腹減ったのぉ...」
  6. 男 「その腹の音聞けばわかりますよ。」
  7. 姫 「次の獲物はまだか?」
  8. 男 「知りませんよ。当たるも八卦、当たらぬも八卦。」
  9. 姫 「おまえなんぞに言われんでもわかっておる!」
  10. 男 「へ~へ~。左様ですか。」

  11. ぐぅきゅるるる...

  12. 姫 「全く、普通の飯ではモノ足らぬとは...不便じゃ...。」
  13. 男 「唄でも歌って紛らわせてたらいいんしゃないっすか?」
  14. 姫 「唄...のう。」

  15. 姫 「か~ごめ、かこめ。か~ごのな~かのと~り~は~♪」

  16. 村人「あの...お嬢ちゃん。この村ではその唄は歌わんでもらえんかの?」
  17. 姫 「なぜじゃ?」
  18. 村人「その唄は鬼を呼ぶんじゃ。とにかく、唄わねぇでな。」
  19. 姫 「あ!おい!?」

  20. ...............

  21. 姫 「ふん♪ふふん♪」
  22. 男 「随分とご機嫌になりましたね。」
  23. 姫 「久々のご馳走にありつけるかもしれぬのだぞ?ふふん♪」
  24. 男 「またガセでも、八つ当たりしないで下さいね。」
  25. 姫 「さあな、それは保証できん♪」
  26. 男 「はぁ...まずは、話しを聞かないとですよ。」
  27. 姫 「じゃな!」

  28. 姫 「おい、そこな稚児よ。」
  29. 子供「?なんだぁ?おめも子供でねぇかよ。」
  30. 姫 「なんじゃと?ワシはこう見えてもじゃな...むぐっ!」
  31. 男 「まぁまぁ、あんな。ちょっと聞きたいことあるんだけど、いいか?」
  32. 子供「...?なん?」
  33. 男 「この辺りに鬼が出たって話はあるのか?」
  34. 子供「...それは...。」
  35. 男 「じゃあ、カゴメ唄って知ってるか?」
  36. 子供「...知っとるけんども、口にしたらいかんて言われとるんよ。」
  37. 男 「鬼を呼ぶから?」
  38. 子供「喰われた子もおるって...」
  39. 姫 「いい加減離さぬか!...おぬし、なぜそんな唄を知っておるのだ?」
  40. 子供「たまに、夜中に聞こえてきおる。村はずれの荒れ寺の方から...」
  41. 男 「当たり...ですかね?」
  42. 姫 「さぁの。日が暮れるまで待つしかなかろう。」
  43. 男 「うわぁ...本気っすか?俺暗いのとか嫌なのに...」
  44. 姫 「大の男が情けない。いい加減に慣れんか!?」
  45. 男 「そんな事言ってもぉ」
  46. 姫 「泣き言は聞かん!支度をするぞ。ただ待っても仕方ないからの。」

  47. 男 「うわぁ...荒れ寺で日暮れって最悪じゃないかぁ
  48.    ...幽霊とか出ないよね?」
  49. 姫 「...はぁ。ゆくぞ。」

  50. 唄)かごめ かごめ かごの中の鳥は
  51.    いついつ 出やる 夜明けの晩に
  52.     ツルとカメが滑った 後ろの正面だぁれ?

  53. ..................

  54. 男 「なんも出ませんね?」
  55. 姫 「イラッ...ちっ。おまえは灯りでもつけておれ!」
  56. 男 「へ~い」
  57. 姫 「...むぅ。あちらの唄で試すか。...すぅ。」

  58. 唄)かごめ かごめ 籠の中の鬼は
  59.    いついつ 出やる 夜更けの晩に
  60.     鶴と亀が滑った 後ろの正面...

  61. 鬼 『だぁれだ?』
  62. 男 「はぁ?」
  63. 姫 「後ろじゃ!?」
  64. 男 「うぉあ!いってぇ...って、あ~!首切れたぁ!?」
  65. 姫 「大したことないかすり傷で騒ぐな!くるぞっ!?」
  66. 男 「だってぇ。んもぅ。」
  67. 鬼 『くっくっくっ。旨そうな肉だぁ...くっくっくっ。』
  68. 男 「うわぁ...よだれ垂らして、嫌な笑い方。」
  69. 姫 「いうとる場合か、こやつは古き言霊に反応したんじゃぞ。
  70.    とびきりの上玉じゃ...逃がすなよ?」
  71. 男 「へいへい。つ~訳だ。あんた、わりぃがおとなしくしててくれ。」
  72. 鬼 『肉...肉だぁ...喰わせろぉ~!?』
  73. 男 「おっと、力はこっちも自信があるんでねっ!」
  74. 鬼 『なぜだ...鬼のこの俺に...?その爪...貴様も鬼か?!』
  75. 男 「まぁ、人間であり、鬼でありってとこか?
  76.    俺は運が良かったからなぁ。ってことで、おとなしく喰われろ!」
  77. 鬼 『ぐるぁぁぁぁぁ!?』

  78. 姫 「まったく、時間がかかり過ぎじゃ。」
  79. 男 「ご馳走にありつけたんだから文句言わんでくださいよ。」
  80. 姫 「まあ、わしには、おまえという最終非常食もあるからのぉ。」
  81. 男 「それだけは勘弁して下さいよぉ。普通の人間に戻るために
  82.    頑張ってるのに...」
  83. 姫 「おまえは、一度鬼に落ちた人間が元に戻ると
  84.    本気で信じておるのか?」
  85. 男 「あなたの罪と罰も永遠ではないでしょう?元神の鬼喰い姫?」
  86. 姫 「だとよいがの。」
  87. 男 「まぁ、俺か正気を保てるのも、姫のおかげですからね。」
  88. 姫 「ふんっ。腹がヘる前に、次の獲物を探しにゆくぞ!
  89.    人がおる限り、鬼は尽きぬからな。」

  90. 男 「鬼は人が闇に落ちた成れの果て...貴方の中にも、
  91.    鬼が潜んで体を乗っ取ろうとしている。
  92.    かもしれませんよ?鬼喰い姫に狙われませんように」
  93. 姫 「うるさいわ!?」

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