魔法使いと使い魔のおはなし

オリジナル台本

ステラ(17):♀ 魔法学校に通う代々の魔法使い

?(産まれたて):♀ 使い魔になる予定のモノ

先生:♂♀ 魔法学校の担任

親:♂♀ ステラの親

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  1. ステラ「純粋な魔法使いの家系というのは、今や珍しくとても貴重だ。
  2.      私はそんな家で産まれた。周りからは有望といわれるほど、
  3.      才としては幼いころから頭角を現していた。
  4.      そして今、魔法学校に通う私は、クラスの中で一人だけ
  5.      使い魔がいないのだった。」

  6. 先生 「はい、来月は使い魔とともに行う実習も始まります。
  7.      使い魔の調教はしっかりとやっておくように!」
  8. ステラ「はぁ・・・。使い魔か・・・。」
  9. 先生 「ステラは後で私のところに来なさい」

  10. ステラ「使い魔とは、魔力を有するものが補助の役割として、
  11.      召喚する内なる自身である。
  12.      方陣を介し、呪(じゅ)をもって呼びかけに応じたモノと契約の下、
  13.      その力を共有し、魂を繋ぐモノなり。」
  14. 先生 「ふむ、魔方陣も呪文も間違ってはいませんね。」
  15. ステラ「今朝も試しましたが、ダメでした。」
  16. 先生 「ステラ。自信をなくしてはいけませんよ。
  17.      あなたはすべてにおいて、恵まれ、優秀なのですから。」
  18. ステラ「はい・・・。」
  19. 先生 「どうしても使い魔が召喚出来ない様であれば、
  20.      その時は先生の使い魔で実習しましょう。」
  21. ステラ「ありがとうございます。失礼します。」

  22. ステラ「はぁ・・・」

  23. 親  「いいか、ステラ。私たちは他の者とは違い純粋な魔法使いの家系だ。
  24.      だから使い魔にもそれなりの特別な意味がある。
  25.      彼らとはすでに産まれる前から魂で繋がれた縁があるのだ。」

  26. ステラ「産まれる前からつながれた魂・・・か・・・」

  27. 親  「初めて召喚できる使い魔はその魂で繋がれたモノだ。
  28.      永劫の契約で運命に導かれている。」

  29. ステラ「じゃあ、私の運命は?」

  30. 親  「どうしてステラの使い魔は出てこないのだろうね?
  31.      同じときに産まれているはずだけれど・・・」

  32. ステラ「私には使い魔はいないってことなの?永劫の契約なんて、
  33.      ほんとうにあるかわからない。」

  34. ステラ「永久(とわ)の流れより盟約せし魂。わが呼び声に応えたまへ。」
  35. ?  「・・・って・・・」
  36. ステラ「ん?今・・・何か・・・?」
  37. ?  「・・・まって・・・」
  38. ステラ「え?・・・だれ?」
  39. ?  「・・・まってて!」
  40. ステラ「・・・まってて?今の声は・・・なに?」

  41. 親  「なに?声が聞こえた?」
  42. ステラ「はい。微かですが。まってて・・・と・・・。」
  43. 親  「うむ。それは聞き覚えがある声なの?」
  44. ステラ「いいえ。でも、何か懐かしいような・・・」
  45. 親  「そうか・・・まってて・・・確かにそう言ったのだね?」
  46. ステラ「そう言われてしまうと、微かだったので・・・たぶん。そうだと思います。」
  47. 親  「ならば、少し待ちましょう。召喚の儀も呼びかけるだけでも
  48.      疲れるでしょう。また聞こえてくるまではひかえなさい。
  49.      毎日のようにしていたのでしょう?」
  50. ステラ「そういえば、幼いころに1度だけ同じ様に声が聞こえてきた事があった。
  51.      その声もとても微かな声で・・・」

  52. ?  「・・・ごめんね。」

  53. ステラ「誰に言っていたのか、なにに対してなのか。何もわからなかったけど、
  54.      その時私は大泣きして、たいそう周りの大人たちを困らせた。
  55.      私自身も涙の意味はわからなかったが、その声を聞いて
  56.      胸が締め付けられるほどに悲しくなった。
  57.      あの声の時と同じなのだろうか?」

  58. 親  「数日たったが、その声はまだ聞こえている?」
  59. ステラ「いいえ。あれ以来聞こえてこないわ。」
  60. 親  「う~ん。・・・そうか」
  61. ?  「・・・もう・・・ぐ」
  62. ステラ「!?・・・あ・・・いま・・・」
  63. ?  「・・・もうすぐ・・・まってて」

  64. ステラ「それからその声は日増しに力強く聞こえるようになった。
  65.      もうすぐ、待ってて、
  66.      それしか聞こえてこないけど、なぜだか私の胸は高鳴っていった。」

  67. ?  「もうすぐ、まってて!」

  68. ステラ「はっきり声は聞こえるけれども、いっこうに声の主はそれ以上のことがない。
  69.      もし、本当に私の使い魔になるモノの声だとしたら・・・
  70.      実習まで後、1週間しかないんですけどぉ!!」

  71. 先生 「みなさん。使い魔の方は準備出来ていますか?
  72.      来週いよいよ実習となりますが、その実習について心構えを・・・」
  73. ?  「もうすぐ、まってて。・・・はやく、あいたい!」
  74. ステラ「あ・・・。感じる。何かとてもあたたかいもの。幸せのうれしい気持ち。」
  75. 先生 「ステラさん?どうしました?」
  76. ステラ「いえ、大丈夫です。大丈夫。」

  77. ステラ「悲しくもないし、なぜだか説明は出来ないけれど、
  78.      私はその時、涙が止まらなかった。」
  79. ?  「もうすぐ・・・あえる」
  80. 先生 「使い魔の件はどうですか?ステラさん。」
  81. ステラ「たぶん大丈夫です。間に合うと思います。」
  82. 先生 「そうですか。よかった。あなたの使い魔がどのようなモノか、
  83.      とても楽しみにしています。」

  84. ステラ「不安はなかった。今まで感じていたあせりもない。
  85.      大丈夫、きっと応えてくれる。」

  86. 親  「すてら、声の方はどう?そろそろ召喚の儀をしてもいいころになった?」
  87. ステラ「3日後にするわ。今度は大丈夫。そんな気がするの。
  88.      ちゃんと出迎える準備をしておかないと。」
  89. 親  「どんなモノが出てくるかわからないのに、どんなものを用意するの?」
  90. ステラ「なんとなくわかるの。感じてる。だから、とりあえず・・・そうね。
  91.       お気に入りになるような、クッションから用意しようかしら。」

  92. ステラ「そして3日後、その日は見事な満月だった。私は力強く言葉をつむいだ。」

  93. ステラ「永久の流れより盟約せし魂。わが呼び声に応えたまへ。」

  94. ステラ「初めてする召喚の儀には必ず唱えなければならない。
  95.      続けて、召喚の呪文を唱える。」

  96. 親  「おお!今まで何も起こらなかった魔方陣から淡い光が・・・
  97.      これはうまくいきそう。がんばって、ステラ!」
  98. ステラ「お願い。私の声よ届いて。私の声に応えて。」
  99. ?  「・・・・・・・ん~~っっぽん!」
  100. ステラ「・・・で・・・・でたぁ!」
  101. ?  「くぁ~~~・・・。」(あくび)
  102. 親  「なんと・・・」
  103. ステラ「・・・ちっさ。」
  104. ?  「にゅ?・・・はっ!きた!あえた!」
  105. 親  「まさか、こんな小さな竜の子とは・・・言葉も話せないのか・・・」
  106. ステラ「え?」
  107. ?  「きゅい!きゅい!きゅい!」
  108. ステラ「わたしにはちゃんと、"あえた、あいたかった"って聞こえるけど・・・。」
  109. 親  「え?じゃあ、ステラにしか聞こえないのだね。
  110.      ステラは魂で繋がっているから。さあ、名前をつけておあげ」
  111. ステラ「なまえ・・・」
  112. ?  「きゅい?」
  113. ステラ「私の名前はステラ。使い魔であるあなたの名前は・・・」
  114. ?  「すてら、うまれる。で、うまれた。でも、さき、しんだ。だから・・・
  115.      またうまれる。じかんかかった。でもやっとあえた!すてらあえた!
  116.      うれしい!」
  117. ステラ「私もよ。ありがとう。また産まれてきてくれて。」

  118. ステラ「私は小さな産まれたての子竜を、私はそっと抱きしめた。」

  119. ステラ「ところで、もうすぐ使い魔との共同実習が始まるのだけれど、
  120.      あなたはなにが出来るの?」
  121. ?  「きゅい?・・・そら、とべない。ほのお、はけない。うまれたて、
  122.      すてらとはなす。それだけ!」
  123. ステラ「・・・・役にたたねぇ・・・」

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