自ら命を絶つくらいなら俺はこの世界を破壊する
オリジナル台本
俺(20)♂物語の主人公
友(20)♂俺の小学校からの友達
女(年齢指定なし)♀俺の中のなにか
彼女(19)♀俺の1年前に別れた元彼女
※女役は兼ね役でもいけます。
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- 俺 「生きとし生けるもの、すべてにおいて、共通するのはこの世からの消滅。
- ふと、身近な人物の訃報をきくと、自分の今を振り返ってしまう。
- はたして、今自分が、この世からいなくなったら・・・」
- 友 「なあ、あいつ、覚えてるか?」
- 俺 「あいつ?」
- 友 「ほら、小学生の時、一緒に遊んだりしただろ?ミヤマ。」
- 俺 「・・・ああ、なんとなくは。」
- 友 「あいつさ、亡くなったんだよ。なんか飛び降りだってよ。」
- 俺 「ミヤマは俺の中では友達の友達。個人的には繋がりはなく、
- お互い何かを話し合ったりはしたことはない。一緒に遊んだといっても
- 数回程度の顔見知りだった。」
- 友 「たまたまだったんだけど、葬式まで行ったんだ、なんていうかさ。
- 複雑だよな~。同じ年のやつがさ、寝てるようにしか見えないし。
- まだまだ実感わかねーよ」
- 俺 「そりゃそうだろうな。」
- 友 「お前はさ、考えたことはねぇの?」
- 俺 「自ら命を絶とうと考えたことはない。だが、もし俺がこの世界から
- いなくなったら・・・そんな意味のない想像をしたことは
- なきにしもあらずだ。」
- 女 「たとえば?」
- 俺 「たとえば?」
- 女 「どういう時?」
- 俺 「そうだな、誰かの訃報をきいたときか?」
- 女 「今回のように?」
- 俺 「ああ、誰でもいいんだ。きっかけは。」
- 女 「そうね。どこかできいたわ。いなくなっても何も変わらない、だけど、そこに居ることで変わるものがある。」
- 俺 「誰かの名言だったな。」
- 女 「あなたは?」
- 俺 「俺?」
- 女 「そう、あなたはその命、どう使うの?」
- 俺 「俺はきっと、自ら命を絶つという選択肢は選ぶことはないのだろう。
- 誰かのせいで。誰かのために。命を賭けるほどの事があるのだろうか?」
- 友 「俺さ、次に付き合う彼女とは結婚までいきたいな~って思うんだよね~。
- やっぱ、結婚は早めにって感じじゃん?」
- 俺 「俺は経験が少ないからなんともまだ・・・。」
- 友 「ってか、今、彼女いるの?」
- 俺 「今?いないよ。あんまりその気もないな~。」
- 友 「まじか~~~。じゃあ、合コンでもするか?」
- 俺 「この友とは実は数年ぶりに会って、成人したんだから呑もう。
- と、いうことになってのこの流れである。」
- 俺 「合コン?よくやるのか?」
- 友 「大学行ってたら茶飯事だぜ?」
- 俺 「勉強まじめにやってんのかよ(笑)せっかく大学に入ったのに」
- 友 「やってるって!単位は取れてんだからいいんだよw」
- 俺 「ちなみに、俺は自宅にて、修行中。親が自営業なのだ。」
- 女 「嫉妬。」
- 俺 「え?」
- 女 「嫉妬した?」
- 俺 「なにが?」
- 女 「自分もいきたかった?大学。」
- 俺 「別に。勉強好きでもないし。働いているのは苦でもないさ。」
- 女 「刺激は足りないでしょ?」
- 俺 「そんなことないよ。」
- 俺 「俺はほどよく酔ったところで友と別れた。」
- 友 「じゃあ、またな!コエかけるから!」
- 俺 「おお!じゃあな!」
- 俺 「冬の始まり。火照った体を程よく冷やす澄んだ空気。
- その日は、星空がよく見えていた。あの日もこんな夜空だったかな?」
- 彼女「ごめんなさい。私のわがままだわ。」
- 俺 「そっか・・・。」
- 彼女「あなたならすぐに新しい人が見つかるわよ。」
- 俺 「そっか・・・」
- 彼女「あなたと付き合えてよかったよ。」
- 俺 「・・・うん・・・。」
- 彼女「ありがとう。」
- 俺 「ああ。こっちこそ。」
- 俺 「それが、彼女と交わした最後の言葉だった。はっきり言ってしまえば、
- 彼女が俺以上に興味を持つモノに出会ってふられた。という話だ。」
- 女 「あなたは彼女を許せたの?」
- 俺 「未練がないといえば嘘になるかな?結構本気で好きだったようだ。」
- 女 「あきらめられる?」
- 俺 「しがみついて彼女を困らせても、しかたがないよ。」
- 女 「だから飽きられるのよ。」
- 俺 「彼女は飽きたんじゃないさ。」
- 女 「そう思いたいだけ。」
- 俺 「・・・そうだな。命を賭けるほどでもなかったんだな」
- 俺 「彼女と別れたのは1年前だ。まだそのときのことを思い出すとか。
- 俺も相当なものだったんだな。」
- 女 「女々しい!」
- 俺 「なんだよ?」
- 女 「もうあきらめなさいよ!」
- 俺 「あきらめてるよ。」
- 女 「本当に?」
- 俺 「だからそういう気にはなってないって。」
- 女 「それはそれで問題が・・・」
- 俺 「だからなんなんだよ」
- 女 「・・・ううん。まだいいよ。」
- 俺 「俺の中で聞こえるもうひとつのコエ。それは・・・」
- 女 「私はあなたを裏切らない。」
- 俺 「裏切るも何もないだろう?」
- 女 「そうね。私はここにしかいない。」
- 俺 「俺にしか聞こえないコエ」
- 友 「お前って、時々変な独り言いってるよな?誰かと喋ってるような・・・」
- 俺 「そうか?意識とかしてないけど。」
- 彼女「あなたは時々誰かを追ってるみたい。誰を見ているの?」
- 俺 「誰でもないさ。誰もいないよ。」
- 女 「あなたは私じゃない。私もあなたじゃない。」
- 俺 「そりゃそうだ。」
- 女 「私はあなたには幸せになって欲しい。私の分まで。」
- 俺 「そうだね・・・」
- 俺 「俺には、いたんだ。魂がそこにはあった。だから、俺が連れ出した。」
- 俺 「...姉さん。」
- 女 「私は本当はどこにもいなかった。だけど・・・」
- 俺 「・・・姉さん。」
- 女 「生まれてくるはずの魂。生まれるはずだった魂。それが私。」
- 俺 「俺は別に今のままで悪いきはしないさ。」
- 女 「だからお願いがあるの。」
- 俺 「俺はわかっているよ。」
- 女 「命はあなただけのものじゃない。まだ。
- きっと、これから出会っていく人のためにも。
- あなたが居ることで変わっていく運命のためにも」
- 俺 「大丈夫さ。姉さん。」
- 俺 「もしかしたら、俺の妄想かもしれない。存在でしか知ることの出来なかった姉。
- 自らの命も選べなかった姉、それは逃げ道かもしれない。
- 俺の世界への虚無感。でも・・・。」
- 女 「いいんじゃない?好きに生きればいいのよ。あなたはそこに居るんだから。」
- 俺 「そうだね。きっと、自ら命を絶つくらいなら、俺は世界を破壊する。」
終